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夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

市原両親殺人事件~1.3つのストーリー~

事件 有名事件

最近、周りが結婚ラッシュでメールやら電話やらに追われております。

「事件物ブログ」
じゃあないつもりなんですが、興味の対象があちこちへ向いてしまうので皆様
しばしすみません。


昭和49年の事件です。
私は子供でした。

んで、この事件のあった千葉県市原市
元々、農業や、時々少し漁協で生計を立ててた街です。

それが、この時代になって一気にコンビナートや鉄工場が乱立。
バブルが弾けても、財政は千葉県内では安定していて優秀です。
大きなショッピングモールもあります。
最近は、小さいお子さんと暮らす若い世帯も増えています。

始まりはこの年、11月に東京湾で中高年の男女の遺体が見つかった事からです。
市原市内の夫婦と判明。
先に書いてしまいますが、息子が犯人として捕まります。

が、この事件には3つのストーリーがあり、錯綜します。

1つは
作家・中上健次の小説「蛇淫」です。
事件を題材にして書かれています。
一人息子が犯人で、息子の視点から書かれています。

もう1つは
その「蛇淫」を元にした映画
「青春の殺人者」
です。

右京さん、カッコいいな。

この映画は当時、サブカル好きな人の間で話題になり
最近、再評価されています。
てか、バブルを未経験な若い世代が、ドラマの「相棒」を見て、水谷豊繋がりで見て
ブッ飛んだという感じです。

映画では、冒頭から父親が殺害されていて、息子(水谷豊)が浴槽に遺体を入れています。
仕事から帰ってきた母親(市原悦子)は仰天(当たり前か)。
息子は自首すると言います。
そこでグダグダな母子の言い合いが続き、息子は母親も殺害してしまいます。

息子はお金を持ち出して、恋人とあちこち行ったり遺体を河に流したりして……ラストは映画を見て下さい。

ただ、この映画の反響に異論を唱えた人がいます。

息子です。

両親殺人で捕まった息子・Sは
現在も無罪を主張して再審請求中です。
結審前にこの映画が上映された事によって
計り知れない苦痛を受け、世間に先入観を与えてしまったと主張しています。

3つ目のストーリーは言わずもがな、現実にはどうかという所です。
「冤罪」かどうかについては司法の専門家でも意見が分かれています。

親殺しは昔からありましたが、
戦後を抜け出して、ようやく衣食住が選べる豊かな時代になってからは、目立つ事になります。

この事件もかなり騒がれたようです。

そうして、調べてみて分かったのですが
被告(息子・S)が無罪主張の再審請求をしているせいもあってか
資料がすごく少ないのです。

他の冤罪を主張している事件では山ほど本があるのに。

それは
「真実を知る者」
が、この息子・Sしかいないように見えるからです。

この時代は「田舎」であった他の街を含めて、「都会化」が押し寄せて来た時代です。

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ジェームズ・ディーンを意識したと監督。

コンビナートの無機質で、それでいてエロティックなフォルム。
汚染される空気。
実際、90年代中頃まで
「市原喘息」
と呼ばれる一種、公害病がありました。
鉄工場が撤退し、空気汚染がなくなったので今は存在しない病気です。

それと、東京は交通網が発達してるので良いんですが、市原市内はすごく広くて車がないと大変です。
それでも比較的、バスが頑張ってるので(頑張ってるのはバス会社か)、お年寄りでも暮らしやすい街です。

東京間との急行や快速が通ってから
住む人達は一気に都会的な物を追いかけるように……でもないようです。

東京から移って来た世帯に対しても鷹揚です。
よそ者扱いもしないです。
市民性とゆーか、気質とゆーか、おっとりしてる人が多いんですよね。

で、元は宿場町だったので、風俗も昔からあります。

息子・Sは千葉市内の栄町という地域では歓楽街のソープ嬢と交際していました。
昔は「ソープランド」ではなく「トルコ風呂」と呼ばれていたので
「トルコ嬢」です。

彼女には内縁の夫(ヒモ状態)がいましたが、息子・Sは付き合いにのめり込み結婚したいと言い出します。

両親は交際を始めた頃から大反対していて
結婚なんかとんでもない
それで口論、激昂の上に殺害
というのが検察の描いた話です。

裁判記録を読むと

腑に落ちない

としか言い様のない気持ちになります。

何故ならば無罪でも矛盾が出るし
有罪でも矛盾が出るのです。

息子・Sの主張です。

「父親は母親が殺した。
母親は第三者が殺した。
その第三者は知られると姉が傷付く人物」

何か、これもヘンな言い分です。

「その第三者の名前は言えないけど無罪にして」

って無理だろ。

そして、この息子・Sがある種の矛盾を抱えている人物ではないかと
私は思うのです。


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今も風景はこのまんまです。


死刑の理由 (新潮文庫)

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蛇淫 (講談社文芸文庫)

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いつも読んで下さってありがとうございます。


次回は
「有罪の場合の矛盾」
です。