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夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

ブラック・ダリア事件~5.フーダニット?~

事件 有名事件

ブラックダリア事件ですがロスアンジェルス市警は
「セックス殺人」
だと早くに判断しています。

レイプなどが目的でなくても
殺人自体が性行為の代償である
という犯罪心理です。

遺体の写真や状況を見て
私が思ったのは

手慣れてる

という感想でした。

胴体の切断など、一般に考えるよりは
はるかに難しい事です。
しかも、横溝正史の小説もかくやのいじりぶり。
犯人は以前にも同じような殺人をしているのではないか
と市警はひっそり考えていました。

マスコミの過熱が少し収まってきた頃
ある郵便物が来ます。

「ブラックダリアの所持品」

と手紙には文字が切り貼りしてあり
中には社会保証証やアドレス帳
写真や手紙が入っていました。

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全てがガソリンに浸されていて指紋が消されています。

捜査線上に何人もの人間が上がります。

前回書いたロバート・マンリーは
最後に被害者を見たと
はっきり分かっている人物なので
警察でノイローゼなるくらいギュウギュウ言わされてます。

が、殺害されたのは発見の少なくとも十時間くらい前と検死では結果が出ています。
マンリーと別れて数日後に遺体発見されたので
さもしい男の浮気願望すらも話すハメになりますが、何とか無罪放免されました。

そこで、興味深い情報提供があります。
その匿名の人物は
「ある男が事件に関わっていたと話している」
とカセットテープを持ち込みます。

内容はよくある「オレの友達の話なんだけど」という前置き(怪談物みたいに)。
そして
殺害に至るまでの細かい描写を話し始めます。
しかも、この男はベスが未成熟な膣だった事も知っています。

極秘にしていた事項なのに!

テープを聞いて、刑事は直感します。

コイツは
「オレの友達の話」
なんかじゃない、自分の体験を語ってる!

このテープの中で話してる男は
ジャック・アンダーソン・ウィルソン。

片足がもう一方より短いために少し引きずるような歩き方をして長身。
本人は盗品をさばいたりする仕事をしていると言っていますが、の割りに慢性金欠で
社会補償金で細々と生活している、ややアル中です。
しかも、強姦殺人の前科持ち。

犯人として疑ってるとは微塵も見せず
何か知ってるなら協力して欲しい、協力してくれたらお金を払うと
市警は何とか接触を試みます。

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ジャック・アンダーソンウィルソン

そしてようやく面談を前にした日
長期滞在していたホテルの失火で



焼死


してしまいます。

市警は歯噛みして悔しがります。

結局、事件は迷宮入りになってしまったのです。

けれど、ここで疑問があるのです。
アンダーソン・ウィルソンは確かにアウトサイダーに近い人物でした。

が、こうした人物に
胴体切断や他、ああした殺人が出来るのか。

何でかって言うと
胴体切断は
腰椎が普通は邪魔しますので
ある程度の医学的な知識や手技が必要です。
ウィルソンにこうした行為が出来るのか、経験があったのか。

しかも、安ホテルに住んでて
どこで遺体を解体したのか。
テープでは
盗品を売る仲間の中国人が貸してる家
と言ってますが
普通は激情にかられた上で起こる性犯罪を、
予定していたかのように場所までセッティングして遺体の処理まで出来るのか。
片足が不自由なのに。

それとも、いろんな偶然が重なって
ああした遺体になってしまっただけなのか。

酒の勢いで
つい、カッとなって、な事件でないのは一目瞭然。

が被害者は数日間拘束されて拷問を受けてます。
そうしたネチネチした暴力を加えた後、更に遺体にあれこれして遺棄、これを一人で出来るとは思えない。
と市警の刑事の一部は考えます。

何故なら
アンダーソン・ウィルソンは片足が不自由なだけでなく重度のアルコール依存症です。

しっかりした思考力や
一人で遺体を遺棄するフットワークがあったとは思えません。

私は遺体写真を見て思ったのは
犯人は複数ではないか
アンダーソン・ウィルソンは何らかの形で従犯していただけではないか
というものでした。

そして、郡を少しまたいで
同時期に全裸女性の遺体が見つかる事件が多発していた事や
日本の警察同様に、郡の管轄の事件は縄張り意識が強く
一つに繋げて考えたり情報を共有しなかった当時のアメリカの事情がマイナスに作用しています。

それでも何人かの警察官は
結びつけて考えていました。

「レッド・リップスティック事件」
など、類似性が多いので
今でも関連があると考える人はいます。

そして、捜査線上に浮かび、消えた人物に
再び脚光があたります。

ジョージ・ホデル。

当時ハリウッドで外科医をしていた人物でした。



ブラック・ダリア (文春文庫)

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いつも読んで下さってありがとうございます。

次回は「『どこか』って、どこ?」です。