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夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

「七つまでは神のうち」~絶望のその先の空虚~

皆様、おはようございます。

「買って見ないままにしてたDVDを見る週間」

を一人絶賛開催中です。

これって「詰みゲー」ならぬ「詰み(罪)ホラー」でしょうか。

さて、「いじめてた対象が、いじめが原因で死んでしまった場合、いじめの加害者はどう取るか」。

1.やり過ぎたと後悔し洗いざらい明らかにし謝罪し賠償し、公的な裁きを受ける。

2.忘れる。


最近の傾向として多くなってるのが

3.「うわっ!オレら、他人の生死を左右出来るんだ⁉すごくね?」
と浮かれる。

一番サイアクです。

七つまでは神のうち
はサブテーマと言うか
いじめがモチーフになってます。


映画『七つまでは神のうち』予告篇
予告編もかなり凶悪。


主人公の繭はリスカしまくってて不登校の女の子ですが、本来なら高校に行ってる年齢です。
それでオトーチャンは気を使ってます。
繭はカトリック(多分)教会に通い、魂の安らぎを求めています。

教会の帰りにレンタルビデオ屋に寄って
駐車場でブラブラしてたら停められているバンに
目隠し猿ぐつわ縛られ放題の女の子を発見。

オトーチャンと車で追います。

地元の山に入り携帯は圏外。
前のバンから、例の緊縛された女の子が転がり出ますが、バンはそのまま行ってしまいます。

オトーチャンはバンを追いかけて
助手席にミイラ発見。
バンの運転手とおぼしき男にバールで殴られます。
この後は出て来ません。

一方、同じ街で
ようやく授かった一人娘で七才のさくらとママとパパ。

ママは遊びに行くと言うさくらに、何だか不安。
それは的中し
さくらは帰って来なくなります。

警察の捜査が打ち切られ、ママとパパは路上でビラをまいて
必死にさくらの情報を探す事に。

ママは元々、信心深い人で、近所の氏神様を信仰していますが
さくらが失踪した当日に持たせたお守りが玄関先に置かれていました。

はたまた一方、繭と小学生時代、仲良しだった薫は親戚のおばさんに頼まれて
従兄弟の男子とお留守番。
不気味な市松人形に追いかけられて忽然と居なくなります。

バンに緊縛されていたのは薫。

はたまた一方、やはり繭と仲良しだった麗奈は
やっすいホラー映画の端役ばっかりの女優になってロケ中。
嫌々ながら森を通って帰ろうとします。

時間軸が上手くずらしてあって、分かりにくいと言う方もいますが
さくらの失踪は
繭と薫と麗奈のせいでした。

繭が緊縛を解くと(一部)、それは懐かしの幼なじみ薫。

そこへ運転手がバール持って追いかけて来ます。

麗奈は気付くと小学校に居て
唸り声がする所へ行くと
繭と薫が猿ぐつわの上、緊縛されてます。

もう、何が何だか分からないまま三人で逃げますが、もしかして…………10年前のアノ事が原因?いや、誰も知らないハズ、じゃあ何がどうして。

はたして何があったのか?

ここで私がお願いしたいのは
小説の方もぜひ、読んで欲しいのです。

何故が何故してこうなった、てのが分かります。

そして、いじめがどれだけ対象を傷付け壊すか
助けられなかった、と親にどれだけの傷を負わせるか、それが分かります。

私は最初、この監督は
世界を愛しながらも何度か裏切られてきたのではないか
それでも世界を愛し続けて来たのではないかと思いました。
それほど、映る冬枯れの街や森が美しかったからです。

小説のあとがきで愕然としました。

三宅隆太監督は
過去にかなりひどいいじめを受けていたそうです。
そんな中で、たった一人味方をしてくれた友達がいて、将来は映画監督になったらオレは脚本家にしろよ、と未来を語り合っていたそうです。

大人になって久しく会わなくなり
突然、事故で亡くなったのですが
その友達のお母さんが
もう何年も三宅さんの話をした事がなかったのに
事故に遭う数日前に急に
「三宅が映画監督になったら、オレが脚本書くんだ」
と嬉しそうに話していたそうです。

そうした監督自身のライフ・ストーリーが反映されてか
説得力のあるストーリーになっています。

子供は昔、早くに亡くなる事が多かった、だから、七才になるまでは神様の物で
不運にも亡くなってしまった場合、神様にお返ししたのだ…………そうカウンセラーに言われて心の均衡を保っていた、さくらのママですが、何の手がかりもない日々に
静かにブチ切れてお守りを破って捨てます。

そして信仰を捨てた途端に、封印が解けたかのように真相が明らかに。

麗奈も薫も無惨な目に遭います。

女の子のグループで
いじめに荷担はしたくないけど
正論で止めると今度は自分がいじめられるから…………と消極的に荷担していた繭。

いじめで受けた傷、止める事が出来なかった罪悪感、絶望のその先には。

何もないと言う、絶望よりはるかにひどい物が待っていました。

傍観者は一番重い罰を受けるのです。

そして「許す」事が出来ず
裁こうとした人達は
同じ罰の中を巡っています。

無間地獄の常闇の中
苦痛と恐怖の日々を永遠に繰り返す事になります。

後味が悪いという感想も多いのですが
私はヒトに生まれた事を少し悲しく思いました。

三宅監督は
きっと、許す事が出来たのでしょう。

さくらのママが信仰を捨てた時に弾けたのと反対に
繭は信仰が
「物理的な問題」を解決してくれないと知った瞬間、本当の後悔と絶望と恐怖を味わいます。

ラストが悲痛に思えたのは
きっと私だけではないと思います。


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映画中の絵。怖いよぉ((( ;゚Д゚)))



ホラー映画見てると
あちこちからバタン、キィー、パキッポキッって音がするのは
建物が古いからかしら。きっとそうだわ。そうだと言ってくれ。