夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

津山三十人殺し~2.実は面倒臭い家庭環境~

千葉県某所より、おこんにちは。

「津山事件」ですが
ルポタージュというか、
筑波氏の本が有名過ぎて
後年、若い石川清氏が調べ直すと虚偽が多いと判明。

この事件を描いた漫画家はみんな、筑波氏の本に騙され……いや、ベースにしてますから、実際とは違ったドラマになるのもやむなし。

横溝氏の「八つ墓村」もいろいろ調べた形跡が
出てくるキャラに反映されてます。

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イケメン過ぎる金田一探偵。

凶行の加害者・都井睦雄の当日の服装ですが
「懐中電灯を前に来るように手拭いを工夫している」
んですが
当時の少年向け雑誌に似たコマがあり、
どうやらこれを参考にしてるんではないかと思われます。

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ですから
「懐中電灯を上に差してる絵や映画はマチガイ」
なんですが、
ちょっと変に思ったのは
都井はもう青年期。
少年雑誌を読む年代ではありません。
これも布石になりますが後日。

んで、都井睦雄の家庭環境ですが
「祖母・ヨネと姉・サユリの三人暮らし」
です(仮名)。

これは間違いないですが
そこに至るまで大変だったようです。

まず、都井家はそこそこの分限者。
お金も地位も(そこそこですが)あります。

祖母ですが
戸籍謄本を見ると
都井睦雄の祖父の後妻として入籍されてます。
愛人や妾説もありますが、きちんと入籍してはります。
やがて祖父の息子と嫁(都井睦雄の両親)が結核になります。
そして祖父が亡くなります。

ここからが問題です。

祖父の弟は後妻のヨネに
結核の長男夫婦と、その子供であるサユリと睦雄を連れて
家を出ていってくれ
と手切れ金や不動産を適当に持たせて追い出し、
自分が家長に収まります。

凶行の夜も、この祖父の弟は
自分の所へも来るんじゃないかと隠れていたと言いますから、跡目争いに関して後ろぐらい気持ちが相当あったようです。

祖母ヨネですが、
古家と田んぼと山を貰い、
生活は苦しくはなかったようです。

睦雄の両親が幼くして亡くなり、
後に残された姉のサユリと睦雄は
この「ばあやん」に育てられます。

この幼少から育ててくれた「ばあやん」と自分に

血縁関係がない

のを都井睦雄はいつ、どこで知ったのかは不明です。
ただ、知る機会は多く、知ってしまったためとしか思えない奇行も増えています。

義理祖母ヨネが居を構えたのは
実は

曰く付きの家

でした。

昔、不倫のこじれから
切腹自殺してる人がいた家で
これを

「祟りじゃあああああ~っ!」

と揶揄するにはちょっと不謹慎と言うか、
とにかく現在でいう「事故物件」で安かったし
長らく人が住んでなかったので

ヨネが選んだのも分かります。

ヨネは睦雄を溺愛し
あれこれ理由をつけて小学校入学も一年遅らせてます。

後に中学(現在の高校)進学の話が出た時も
「都井家にはお金がなかった」
だから、病気がちを理由に諦めさせたという本が多いですが、
事実は真逆。

田んぼや山で当時は十分進学可能な財産があったのに、
中学進学となると睦雄は近くの下宿生活になる、
つまり村から出ると聞いてヨネ、パニック。

「サユリはいつか嫁に行くし、
ワ゛ダジを一人にするのかぁああああっ‼」

と、あんまり嫌がるので
睦雄は進学を断念します。

学歴は未来への投資、とは考えられなかったのか、
あるいは。

睦雄が中学卒業したらホワイトカラーになって、ますます自分から離れてしまう。
それより、農家の息子として、いつまでも側にいて欲しい
てのが近いと思います。

現代もそうですが
親は子供が将来一人で生きていけるようにする義務感があります。
が、親と違って、祖父母からすれば
孫なんてペットかマスコットです。

そんな必要もなかったのに
中学進学を諦めた時から
睦雄は空想の世界と現実を行き来するようになります。


神かくし (秋田文庫)

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津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)

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津山三十人殺し 最後の真相

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いつも読んで下さってありがとうございます。

次回は「病理学から見る事件」です。