同じ本で10人分の読書感想文、の書き方。
頭が痛い…………な千葉県某所から、おこんばんは。
相方「パートのマダム達から『子供の読書感想文』を頼まれたけど、あなた書ける?」
水「うん」
相方「10人分だけど」
水「書けるよ」
相方「『10人分』ですけど」
水「だから、書けるって。中・高生の頃はそれで小遣い稼ぎしてたし」
相方「…………そんなに簡単なの?
ちなみにだけど、『ネットでの模範解答は厳罰』だって」
水「学年、男女、普段のボキャブラリーや読書してるかどうか、得意科目は一応、聞いておきたいですが」
相方「どう変わるの」
水「変わんない」
相方「……………………は?」
水「読書感想文なんだけど『自分の妄想やら思うままに書いてもいい』訳ではないの。
選んだ本の作者の
『言いたい事』
をいかに汲み取るかなの」
相方「えー?つまんないなぁ」
水「本に触れて、何を学びとり、そして、どういうロジックを育てたのかも大切なのです。
テキストとして夏休みなので
『ビルマの竪琴』
を使います。
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この作者がこの作品で言いたい事は
『戦争はイケナイ』」
相方「…………それで『終わり』だと、どうなる」
水「30点です。
『何故、いけないと思ったのか』を書く。
この作品は中編ですが、平易な文章で読みやすいです。小学生向け。
で、『感動のし所』が三ヶ所ある、よく練られた作品でもあります。
1.第二次世界大戦。南方での悲惨な戦闘と日本軍兵士の悲惨な生活。
2.前線で敵とにらみ合いになります。
その時『はにゅうの宿』をどちらからともなく歌う。
そして、自分の国の言葉で合唱が始まる。
互いに武器を捨てて泣いて抱き合う。
普段は『鬼畜米兵』とか言ってて言葉も通じないのに
音符は世界を越える。
『家に帰りたい』という歌詞で、それが互いの心情を表している。
その後、『自決など考えないで捕虜になってくれ。国へ帰れるようにしてあげる』と説得されて、主人公は捕虜になる事を決意する」
相方「…………うっうっうっ(。´Д⊂)」
水「3.途中でブッチした水島上等兵との再会。
一緒に帰ろうと呼び掛けても無視される。
その水島からの長い手紙。
理由があって部隊を離れていた水島だけど、帰る途中でたくさんの兵士の遺体や骨を見る。
自分のやっている事=戦争とは何なのだろうかという疑問。
遺体を自分なりに弔って廻る。
そして、この地に残り、晒されたままの遺体の菩提を弔おうと決める。
再会した時に出家姿だったのは
その決意の表れ。
本当はみんなと祖国に帰りたい。
けれど、ここでやるべき事を見つけてしまった。
これを途中で放り投げて帰国したら、自分はきっと、激しく後悔する。
その気持ちの代弁が水島のペットのオウム」
相方「…………うっうっうっうっうっうっ(。´Д⊂)
そんな話なんだ…………」
水「今ちょっと『読んでみたい』と思ったでしょ?
そういうように、作品の魅力=『感動のし所』を書く。
あらすじだけはダメ」
相方「で、どうやって10人分に」
水「普段、本を読まない子の場合。そういう子は、歴史もあんまり勉強してない事が多い。
だから
『そんなに悲惨な戦争だったのかどうか調べた。日本はコスパの悪い植民地を抱えていたので、やっぱり悲惨だったのが分かった』
と一冊の本から、いろんな事を学んだ、これからも学びたいと書く。
『感動のし所』の1を使う。
逆に、読書家の子には
『戦争はいけないという、ありふれたテーマをストレートに、しかもどこか素朴な文章で染み渡るように書いてあって感動した』
と少し捻る。
戦争経験者に話を聞いた、なども付け足す。
『感動のし所』の3を使う。
読書も勉強も苦手な子の場合」
相方「最難関」
水「『分かりやすい文章だった。
それが余計に、戦争の悲惨を伝えてくる。
音符が世界を越えるシーンは
大人もこんな風になるんだと胸が熱くなった』
つまり、『感動のし所』の2に着目したと書く。
南方の悲惨さとか、菩提を弔うとか
ピンと来ないタイプだからね。
悪い例は、最近多いけど
『近代戦なら、こう戦う』
『あの戦争は西洋諸国からの独立のために必要だったとか何とかかんとか』
というネトウヨな内容。
そうした感想がいけない訳ではないけれど
作者の言いたい事ではないから」
相方「そんな小学生いるの?」
水「高学年辺りから発症するらしい。
中学で重症化する。
そういうタイプ(?)の子は、いっそ本を変える。
ドストエフスキーなど、少し難しい本はロシアの歴史なんかも知らないと
先生から容赦のないツッコミが入るので避ける。
ちょっとシニカルな夏目漱石や
ウェットな太宰治も
読み解くのが難しい。
三島由紀夫は、更に重症化するので避ける。
いっそ、樋口一葉の『たけくらべ』なんかにする。
口語体で書かれていないので、読むのが難しいから
読んだというだけでポイントが高い。
それと
『大人のドロドロが嫌。一生、子供でいたい』
と願いながら、結局、境遇を受け入れる主人公のラストは
中二病の回復に通じる」
水「は?!(・◇・;) ?」
相方「『最後の一葉』だっけ。
えーと、病気の女の子が窓から木を見てて、葉っぱが1枚残ってて、あの枯れ葉が落ちた時、わたしも死ぬって話」
水「『最後の一葉』がオー・ヘンリー‼
樋口一葉は五千円札の女性で日本の作家‼
って言うか
『一葉』しか合っとらん
だろうがぁああああああっっっ‼!!」
すいません。実話です。
相方は本を読まない人です。
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いつも読んで下さって
ありがとうございます。
別に、本を読まなくてもいいんだけどさ。
水