光のお父さん~か、か、か、神様ぁあああっっ!! (追記あり)~
皆様、おこんにちは。
オンライン・ゲームって、私はスマホでしかプレイした事がありません。
が、すごく面白いのではないかと最近、思っています。
「光のお父さん」を観たから。
社会人になって、まだあんまり経ってない主人公。
父親は昔から仕事が忙しく、あちこち単身赴任してます。
それが昇進を前に退社して、家に帰って来ます。
「ちょっと早い定年退職」
と言う母親と妹。
何を考えているのか、サッパリ分からない父親を知るために、主人公はPSと「ファイナル・ファンタジーⅩⅣ」を、ポンとプレゼント。
主人公はこのオンライン・ゲームが趣味です。
実は、ゲーム内で父親に正体を明かさず近付き、旅と冒険を共にし、いつかは真実を明かす……という計画を立てています。
で、主人公のキャラは「マイディー」。
半獣人(ミコット)で格闘がメイン(モンクというジョブ)。
マイディーの正体を知らない父親は、まったりとキャラを作ります。
名前を
「井上」
にしようとして、止められて(……てか、誰の名前なの)、ゲームキャラらしく、つけた名前は
「インディー・ジョーンズ」。
ジョブは弓術士で、ヒューマン。
キーボードがなくて最初は、コミュニケーションが取れなかったり、いろいろあったものの、見守っていると、ゲームにハマる六十歳の父。
ところが、ゲームを中断してしまう父。
理由は、父親のレベルでは本来、行けるハズない場所に行ってしまい(RPGあるある)、雪国で、みんなコート着てるのに、自分一人半袖だったのが恥ずかしかったと。
…………皆様、お待ちかね。
……………………よ、よ、よ、吉田ぁあああああっ!!!!
(注*吉田 :このゲームのプロデューサーで監督
*吉田コール : ゲームのシステムへの不満、困った事が起きるとプレーヤーが叫ぶ声。ただし叫んでも来ない)
これからは、高齢化社会。
高齢者に優しいゲームのシステムを作って!!
着替え方を教えたら、すんなりゲームに戻る父。
「通りすがりの親切な他プレーヤー」のフリをして近付き、フレンドになり、自分のパーティーに誘う主人公。ちなみにパーティーのみんなは、主人公から事情を聞いていて、知らないフリをしてくれています。
自分がログインしていなくても、ゲームの中の大陸・エオルゼアで
釣りしたり、釣った魚を料理したり、めっちゃ楽しんでる父。
特筆すべきは、一般的にファンタジーのRPGゲームは、1人に1つの職業なんですが、FF ⅩⅣの場合、サイド・ビジネスもとい、副業もとい、サブ・ジョブみたいなシステムがある所です。
レベルが上がるともう1つジョブが持てます。
つまり、武器が二つ持てたり、守備に徹底してる人が攻撃も出来るようになったりします。
最初はめたくそ弱かった父。
やりこんでドンドン強くなります。サブのジョブは吟遊詩人。
妹が連れてきた彼氏が気に入らんと、タイタン討伐で鬱憤晴らし。
射る!
奏でる!
結局、母に怒られ、マイディー(主人公)に諭され、お笑い芸人目指してると言っていた彼氏のライブに行き、和解。
反対に、仕事で悩むマイディー(しつこいが主人公であり息子)に、的確なアドバイスをする父。
主人公は広告代理店勤務なんですが、このアドバイスに沿って、メーカーから広告を貰うため、プレゼンするシーンはすごく良いです。
そして、倒れるリアルでの父。
実は、急な退職には、大きな理由があったのです。
エオルゼア最強最悪と言われるツインタニアを倒したいと言う父。
パーティーみんなで闘います。
これはですね、ドラマ版も良いのですが、ぜひ、映画版で見て欲しいのです。
いかにも映画、な演出がなされています。
もう、もう、戦闘が終わった後
大泣き
してました。
エオルゼアで闘うプレーヤーはみんな、「光の戦士」です。
父親がゲームで得たのは、この世界にはまだまだ見た事のない美しい場所があるという事、仲間と力を合わせて闘う事の達成感、生きる事の喜びでした。
それが例えバーチャルな物であっても、いえバーチャルだからこそ、遠くて簡単には会えない地域の人と友達になれたり、老いていようが体が弱っていようが戦闘出来たり、現実にないがゆえの、素晴らしい体験が出来ます。
ラストは号泣。
何よりスゴいのは、これら一連の出来事はほとんど
実話
なんです。
- 作者:マイディー
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本
マイディーさんが日々の経験をブログに書き、スクエニからも著作権の許可をもらい、書籍化ドラマ化、そして映画化まで、とてつもない労力と、この互いにどこか不器用で、似ている父子のストーリーを、映像化したい人達が、たくさんいたのです。
そうして、老若男女問わず、このストーリーに感動し
「いつかマイディーさんに会えたら良いな」
とFFⅩⅣを始めた人達も、たくさんいるのです。
現在、マイディーさんは余命半年から一年と宣告されて、ホスピス(緩和ケアの病棟)にいます。
……………………か、か、か、神様ぁあああああっ!!!!
まだ、マイディーさんを連れていくのは待って下さいっ!!
私、最初はバカにしてたんです。
「どうせゲームの宣伝映画だろう」と。
そうではなかったのです。
宣伝なら、バリバリ、ゲームの画面だけで進めたりテーマ曲ガンガン流すのに、ちゃんとアニメになってるし、テーマ曲もほとんど流れないし。
生きる事への喜びと、父と息子の絆という不変のテーマが、説教臭くなく、コメディー挟んで……………………少くとも
「ファイナル・ファンタジーⅩⅣ、プレイしてみたい!」
と思わせる物があります。
リアルの世界でも人は戦わなくてはならない時があります。
世界をこういうシステムにしたのは誰かは分かりません(吉田さんではないのは確かです)。
いつか私も、運が良ければ、もっと老いて、運が悪ければ明日にでも死にゆくのです。
その時まで、人は「光の戦士」です。
この美しい世界をもう少し、もう少しだけ、取り上げないであげて下さい。
水
2020年12月10日
12月6日に
マイディーさんは永眠されました。
素晴らしいお話と素晴らしい世界を、本当にありがとうございました。
ゆっくり休んで下さい。
そして、いつかどこかの世界で、お会い出来ますように。