★ゾーニングの難しさ
水「山と街の“境界”って、もう溶けちゃってる感じがするよね……。
昔は“熊は山に、人間は街に”って分かれてたのに」
真一「それが今は、山菜採りの人も減ったし、林業も衰退して、
山が“空き家”みたいになってるんですよね。
そこに熊が入り込んだだけ、みたいな」
乙女「人間側が先に山を手放しちゃったわけか……。
熊から見たら“別に人が使ってないし”って感じ？」
グランパ「土地を維持するには“人間の眼”と“人間の音”が必要なんじゃよ。
人間が入らなくなると、山はすぐに“野生の領域”に戻る。
そこに人間の食べ物の匂いが漂えば……来て当然だろうな」
★熊と人間の行動圏が“完全に混線している”
水「“都市生態系”って言葉がありますけど、
もう熊の生態圏と人間の生態圏が重なってるんですよね」
乙女「アーバンベアだ」
真一「しかも、あれは“迷い込んだ熊”じゃなくて、
“街を攻略してる熊”なんですよね……
OSO18の書籍で出てきたスカベンジャー行動の話、読んでて怖かった」
グランパ「農家のコンテナの開け方、ゴミステーションの破り方、
ドアノブを回して家に入る熊もおる。
人間を“脅威が少ない資源のある生き物”として認識しとる」
乙女「えっ、ドアノブ回すの!?」
水「うん、熊って器用なの。力も強いし」
★OSO18は“怪物”じゃなくて“環境が生んだ最適化”かもしれない
真一「ところで……OSO18って“異常”なのか“先頭走者”なのか、ちょっと考えちゃう」
乙女「え、どういう意味？」
真一「つまりね、
OSO18が特別だったんじゃなくて、
“環境が変わったから、OSO18みたいな熊がこれから増える”
って意味」
グランパ「実際、北海道だけじゃなく本州でも“牛殺し熊”が増えてるしな。
そのうち、都市に常習的に出る熊が“普通”になるかもしれん」
水「恐ろしいのは、OSO18に“残虐性”があったわけじゃなくて、
“合理性”があったこと。
最も効率のよい獲物を、最も安全な場所で狩る……
それを淡々とやっただけなんだよね」
乙女「本能だけで最適解選ぶ生き物って……逆に怖いね。
人間みたいに“やりすぎたかな？”ってブレーキないし」
★取りあえず、まとめ
グランパ「OSO18を“熊の異常”として片づけると危ない
真一「でも、ひとつ思うんですけど……
OSO18を“悪い熊”“特別な熊”ってラベル貼るのって、
なんか違うと思うんですよ」
水「うん。“怪物が出た”で終わらせちゃうと、
人間側の失敗（環境・習慣・政策）の部分が見えなくなる」
グランパ「熊は山に食い物がなきゃ下りてくるし、
人間が脅威でないと分かれば近づいてくる。
人を恐れなくなった理由は……
熊の変化より、人間の変化が大きい。」
乙女「つまりOSO18って、
“今の日本社会が生んだ自然のバグ”ってこと？」
真一「バグ……というより、
“自然界なりのアップデート”かな。
その結果、人間がついていってないだけ」
水「……OSO18の本、読み返して一番怖いのって“熊が賢くなった”んじゃなくて、
“人間が弱くなった”ってところかもしれない」
真一「分かる。
熊が街に来るってより、
“街が熊に近づいてる”って感じですよね」
乙女「どういうこと？ 街って街じゃん」
真一「いや、たとえば山の手入れがされてないとか、
林業やる人も減って、境界が溶けちゃってるって話。
山と街が混線してるって感じ」
グランパ「それに加えて、人間側の“防御力”が落ちてる。
過疎化がすすんで、空き家になってる家や、納屋の中で冬眠していたり
昔は村の人が山の知識を持っとったし、
飯の残り物を山に捨てるような馬鹿は少なかった。
今は……どうだ？」
水「SNSで“熊かわいい”“会ってみたい”なんて言う無責任な空気もあるしね。
熊の動画はバズるからって接近する若い子もいるし」
乙女「山の危険、知らないしね。
“自然と共生”って言いながら、
実は自然の怖さ全然理解してない」
★都市化する熊と“人間の弱さ”の構造
真一「人間側が弱くなった理由って、
①自然との距離を取りすぎたこと
②想像力の低下
③人の密度が減り、山からの“見張り”がなくなった
この三つだと思うんですよ」
水「そこに“人間の匂いのするゴミ”の大量供給ね。
熊からしたら“人間の近く＝危ない”じゃなくて、
“人間の近く＝楽して腹が満たせる”になっちゃった」
グランパ「文明の便利さが、動物にとっては“資源の宝庫”に見えるんじゃ」
乙女「都市が熊を呼ぶって、なんか嫌な言い方だね……
でも間違ってない感じがする」
★“強くなった熊”ではなく“弱くなった人間”
水「熊が変わったんじゃなくて、
人間が“自然と自分の距離”を測れなくなった。
それがOSO18の背景にある、って本は指摘してたよね」
真一「うん。“文明は動物を遠ざける”って神話が崩れた瞬間」
はちみつにはもう飽きた……。
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