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異形のヒグマ〜OSO18を創り出したもの〜 リモート読書会③

★人間は美味いのか?

グランパ「一度、人の味を覚えた熊は、また人を襲うようになる」
乙女「人間って、そんなに美味しいのかなぁ」
水「ヒトはそもそも雑食だから、そんなに美味しくないと聞いた事があります」
乙女「うえええええ」
真一「止めて、マジで止めて。
獲物への終着が強いから、食べきれない分は土の中に隠して、後で残りをを食べに来ると言いますが……OSO18はそうではなかった」
グランパ「最初は放牧されてる牛を狙ってただろう?それで何頭も殺して食べてない牛もいた。まるで猟奇殺人犯」
乙女「うえええええええええ」
水「食べなかったのか、食べられなかったのか。
冬眠前の熊は、普段のの三倍から五倍食べると言います。牛も、内臓だけ食べたり、肩ロース狙ってたり、美味しい部分を知ってますね。

心配されてたのは『凶暴で凶悪な熊であるOSO18を早く捕まえないと、番を見つけてしまう。OSO18の残虐性が遺伝した小熊が生まれる』と、危惧されてました。

本では、何故、OSO18が肉食に偏ったのか、そしてそのせいでどうなったかが、分析されています」

グランパ「正直、ハンターも学者も思っていなかった方向になるが、『人間がこうしてしまったのか?』という疑問は残るな」

真一「本を読む限りでは、OSO18の特異性もあったのでしょう」

乙女「果たして、可哀想な熊なのか、無双なのか」 

 

真一「熊って“うまい部位だけ食う”って聞いたとき、
なんというか……“自然の中の理性のないグルメ”って感じがして怖い」

乙女「やめてよそれ……熊版ミシュランみたい……」

水「しかも、冬眠前の熊は“栄養効率がいい部位”を本能で分かってる。
脂肪が多いところ、内臓、消化のいいもの……
だから牛の肩とか内臓を狙う」

グランパ「人間だって似たようなもんじゃ。
ツマミにまず脂がほどよく乗った部分から食いたいもんだ」

真一「いやグランパ、例えがリアルすぎ(笑)」

浜松市動物公園HP

 

水「でも問題はそこじゃなくて……
“人の味を覚えた熊はまた襲う”っていうけれど、
本当に味なのかな、って思うんですよね」

乙女「味じゃないの?」

水「むしろ“狩りやすいかどうか”じゃないかな。
人間は足が遅いし、武器も持っていないことが多いし、熊から見たら“危険が少なくて手に入る大きな肉”」

グランパ「つまり、人間=味より“効率のいい獲物”になったわけだ」

真一「それは……いや、それは本当に怖い」

★効率的な狩り

グランパ「しかもOSO18は、“食べるため”以外の殺害が増えた。
牛を殺しても食べない。
腹をかっさばいても、脂肪の少ない個体には手をつけない。
好きな部分だけを食って、あとは捨てる」

乙女「……なんか、ぞっとするね。
必要な栄養だけ吸い取って、要らない部分はポイって……」

水「だから“猟奇殺人犯みたい”って言われてる。
でも実際は、栄養効率の最適化が極端に進んだ熊なんだよね。
そこには悪意じゃなくて、生存ロジックしかない」

真一「それが逆に恐ろしい。
“異常行動”じゃなくて“合理的な進化”かもしれないってことだから」

グランパ「熊の世界にも、AIみたいに“学習の暴走”が起きているのかもしれん。
人間が落としたゴミ、置きっぱなしの食料、民家の台所、畑の作物、放牧牛……
楽に手に入る餌を積み重ねて学習した結果、
熊の行動圏と価値判断が、人間の生活圏と重なってしまった。」

乙女「自然と人間の境界がなくなってきてる……ってこと?」

水「うん。“山の主”じゃなくて、“都市のプレイヤー”になってしまった熊。」

真一「こ、怖……
でもだからこそOSO18のような“異形”が生まれたのか」

グランパ「異形を生んだのは熊ではなく、
“人間社会と現代環境そのもの”じゃよ。」

 

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