夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

渇愛 リモート読書会②

水(みず) … 元看護師。読書傾向はカオス。
真一(しんいち) … 40代会社員。理屈っぽく、好きなのは社会問題や社会派ミステリー。
乙女(おとめ) … 20歳女子。不思議ちゃん。ラノベから学術書まで読む。
グランパ … 70歳。古典文学が好き。引用も好き。

 

★頂きマニュアル

水「じゃあ、いよいよ“りりちゃん”の話、行きますわよ〜。
最初に言うけど、私が驚いたのは、彼女の“狩りの仕方”よりも、“孤独の深さ”だった」

真一「分かる。
行動は完全にアウトなんだけど、心理描写は、ただの“金目当て”じゃないんだよね。
相手の承認欲求と依存を、組み合わせて満たす。

なかなか出来ないやり方……」

グランパ「わしは、りりちゃんよりも、
あの手口に引っかかる男たちの“渇き方”に驚いた。
若い頃ならともかく、
いい歳したおっさんらが“二十代の素敵な彼女”を即、信じるか?

ところが『将来の未来を見せる事』で、信じさせてしまう」

乙女「そこは“恋愛じゃない恋愛”なんだよね。
男の人の方が、
『一度信じたら全振りしちゃう』って聞いたことあるし……。
りりちゃんはそこを突いたんだと思う」

水「でも、りりちゃんの“愛情の奪い方”って、ある意味、ホストの“逆バージョン”なんです」

真一「逆搾取構造ね。
ホストは“お金を払わせる愛情”を演じて、りりちゃんは“お金を払わせてくる愛情”を演じる」

グランパ「演技力や人の心の懐に入るテクニックはすごかったんだろうか。
儂も若い頃、あの『頂きマニュアル』をされたら……いや、されんわ!」

乙女「でもりりちゃんって、
“悪女”っていうより、
自分の価値を“ホストクラブでお金を使う事”でしか測れない子に見えてさ……。
ああいう子、現実にもいるよね」

水「そこなんです、この本の怖さ。
“恋愛”よりも“依存”が中心にあるから、読んでて心がザワッとする。

しかも、ホストに本気では惚れてないし」

真一「で、ラストのあの展開。
客の男たちだけじゃなくて、
りりちゃん自身も『渇愛』の被害者なんじゃないか?
って思わせる」

グランパ「罪は罪だが、あの子が“本当の愛”を一度でも受けていたら、こんな結末にはならんかったかもしれん……と思うた」

乙女「うん……
“頂き女子”って言葉のイメージで読むと軽く見えるけど、実際はめちゃ重いよね……」

★分析

水「まずは“3軸分析”ね。
りりちゃんをただの『悪女』として読むと浅いけど、
搾取・依存・承認の3つを見ると一気に立体的になるよ」

 

① 搾取(エクスプロイト)

グランパ「あの子は“計画的に貢がせる技”を持っとる。メッセージの送り方、距離の詰め方、普通じゃない。
あれは、生活のために身についた処世術”じゃろう」

真一「搾取というより、
“生き延びるための手段がそれしかなかった”っていう印象。
ただ、その手段自体が完全に犯罪なんだけどね」

 

② 依存(ディペンデンス)

乙女「私、ここがいちばん怖かった。
りりちゃん、
“好きって言われる瞬間だけは本物の自分でいられる”
って勘違いしちゃってる感じで……」

水「そうそう。“依存系加害者”ってやつね。
悪いことをしてる自覚はあるのに、心が寂しさに負けて手口を止められない」

 

③ 承認(アプローバル)

真一「りりちゃんって、
承認欲求というより“愛情の証拠集め”をしてるように見える。
貢がせる=自分の価値を証明する手段」

グランパ「言ってみりゃ、
自己評価がゼロの子が、外から無理やり満たさんとしとる状態」

 

乙女「筆者も彼女の魅力に見事に取り込まれて、名古屋に住んでまで接見行くようになるし。

人を惹きつけるアレコレを本当に、それまでの経験から身につけて、全力で発揮してる」

 

水「筆者はここで、『騙されたおぢも悪いのでは?』と思ってしまう。

しかし!

そうではない事態になります」

 

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