夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

恋愛妄想~2.とあるアイドルのファンの少女~

皆様、玄関のトマトとキュウリが大変な事になってる(実がワンサカ)、
千葉県某所から
おこんばんは。




「恋愛妄想」

ですが、
ガチでヤバいストーカーや
重い精神疾患の方は今回は取り上げません。

何でかって言いますと












めっちゃ多いから







です。



「恋愛妄想」

ですが、
精神科では

「エロトマニー」「エロトマニア

これじゃ
色情狂の「ニンフォマニア」みたいだからと、


クレランボー症候群」

などとも呼ばれています。


名称がこんだけ分かれたり変わったり、
てのは


「こっからが病気です。こっからは正常です」


とゆー「線引き」がやりにくいせいもあります。


現に
統合失調症

「『精神』が『分裂』している病気ではない」

という事で
名称変更になったのであります(それと差別軽減のため)。







私が中学生2年生の時でした。


1年生2年生と
私は浮いた中学生時代を送っていました。


それで、何がきっかけだったのか覚えてないんですが、
他のクラスの女の子二人と仲良くなり、
時々、自宅へ遊びに行ったりしていました。



この二人、A子ちゃんとBちゃんは
はっきりクラスのイジメに遭ってまして、
今時の
暴力が伴う陰湿な物ではなかったのが幸いでしたが、
とにかく、
いつも二人セットで動いていました。


A子ちゃんは
当時としても、旬を過ぎた某アイドルの大ファンで
レコードをかけて
フルに振りつけて完璧なダンスが出来るほどでした。


ただ、世界の全てが
そのアイドル中心だったんですよね。


そのアイドルが好きだと雑誌に書いてあったから
と、本や音楽を選んでいました。



が、
二人のクラスの女子から聞くと
ちょっと事情が違います。


いっつも、二人で行動してて
他の人間を寄せ付けないみたいな空気があるし、
話すと好きなアイドルの事ばっかりで……と
やつれた顔をしていました。



そんなこんなで
中3になり、
私とは相変わらず違うクラスのままでした。



私の方には劇的な変化が起こりました。


初めて友達が出来たのと
部活を立ち上げて部長になり
生徒会と繋がりが出来て
更に友達が増えて
なりたい職業があったので
受験の準備が(略)。










女子からラブレターを貰ったり






失われた1、2年生を取り戻しても余るほどの忙しい日々になりました。


イジメに遭ってる方、
勉強が出来るとか部活やってるとかだと有利だよ。



部活や塾に
A子ちゃんBちゃんを誘ったんですが
A子ちゃんは興味がなさそうでした。



二学期になって
大変な事件発生。


急遽、Bちゃんが転校してしまったのです。


A子ちゃんがクラスで孤立するのは必至。



そのクラスの子で
プレーンなグループの子達が気を使い、
お弁当に誘いますが
やっぱり楽しくなさそう。


校内で見かける彼女は
いつも
オドオドしていて
下を向いていました。


冬休み前のある日、
話しかけられた内容が

「Bちゃんのお別れ会がしたい」



転校したのは二学期の頭、
これから受験で忙しくなるのに
過去にさかのぼったお別れ会をして
よその街にいるBちゃんを
わざわざ呼んでやるの?


と聞くと
無言でA子ちゃんは立ち去って行きました。


少しして
また自宅へ遊びに来ないかとお誘い。


で、
この時に
決定的に私はA子ちゃんが


何かヘンだと気付きました。






彼女の愛するアイドルは
私達の住まう方面にコンサートに来てくれない、
大きい街に遠征に行くとしても
チケットがなかなか取れない


と知り合ったばかりの頃は
ボヤいてたんです。



それが


「実は
メンバーの一人が親戚だ」


と言い出します。


冬休みに近付くにつれて


「親戚」

「従兄弟だ」

に。


ついには



「いつでも楽屋に入れてもらえる」



と、うっとりした瞳で語ります。


冬休みが終われば
公立高校の入試が始まります。


周りのみんなは
どこの塾の集中講義に行くか
願書はどこに出すか
騒然としてる中、
A子ちゃんはうっとりとアイドルの新曲を語っています。


冬休みがあけて
A子ちゃんは当校して来ませんでした。


1月半ばになって
ようやく学校で見かけた彼女は
完全に浮世離れしているように見えました。


私の受験が終わり、
またもや姿を見なくなったA子ちゃんが
ますます心配になったので
私は自分のクラスの担任に
他のクラスの女の子なんですが
と前置きして
A子ちゃんが現在どうしているのだろうか、
学校で見ない事も心配していると話しました。


担任は

「いつも一人でいた子だよね…………」

と答えます。


A子ちゃんは
何校か受験したのですが
二次試験も含めて
全部、不合格になったそうです。


ご両親は
女の子なのに中学生浪人では外聞も悪いと
何とか手を尽くしたのですが、
A子ちゃん本人が
高校進学に興味がなく
それで現在も今後、どうしようか
学校と相談中だと言われました。



卒業式にも
A子ちゃんの姿を見る事はありませんでした。



その後、同窓生から聞いた噂は
しばらくブラブラしていて、
18才を機に
エステのキャッチなんかをしたり
しなかったりしつつ、
結婚と離婚を繰り返し
いつしか街から消えていた
という内容でした。


私は子供でしたが、
分かっていたのは


「A子ちゃん、それは妄想だよ」


と言ってはいけないという事でした。



行きたくもない学校
つまらない勉強
どんどん変わっていってしまう同級生達。



その虚無の中、
彼女を支え、現実に引き止めていたのは
あのアイドルだけだったからです。


彼女の孤独を知りながら
何も出来なかった事を
私は時々、思い返しては
今、幸せでいて欲しいと願うのでした。


私の中での「芸能人」は
ブラウン管の向こうの
幽霊みたいな触れる事の出来ない、
言い換えれば

「単なる映像」

なのですが、
女性の恋愛妄想が
男性の物より
何故、ヤバいのか、
また次回に。



私の中の「アイドル」のイメージ。

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何でこうなるんだ。





〈続く〉



パラノイア・ズライカ


いつも読んで下さって
ありがとうございます。