夜になっても読み続けよう。

地位も名誉やお金より、自分の純度を上げたい。

ピピピさんが亡くなった。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_tel.html

 

はてなブログを始めた初期に、コメントを寄せてくれていた、はてなのスターとも言えるピピピさんが、クリスマス前に亡くなりました。

それを知って「落ちる」とかそんなんではなく、ブルーとか、そんな若い人の言葉で表せる感情ではなく。

驚いたのは亡くなる前に予約投稿された、いわゆる遺書のようなブログです。

 

40万字。

 

私はかつて、こんなに長い遺書を見た事がありません。

自死前に900通の遺書書いた、てな人を本で読んだ事がありますが、字数はこんなにならなかったでしょう。

https://www.pipipipipi5volts.com/entry/2022/12/22/174833

 

過去から現在に至るまでの経緯、人生の記録なんですが、すごくパワフルです。

ADHDの他に双極性障害を抱えてらしたのですが、躁状態の典型的なパワーを感じます。

 

この躁状態の時は、ものすごい多幸感や全能感が溢れていて、覚醒剤もかくやの状態なんだそうです。

 

だから

 

普通の生活がつまらなくなる

 

そうです。

 

双極性障害は昔は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、今では「症候群」「病」ではなく、「障害の1つ」として考えられています。

その躁状態の時の感覚がすごいから

普通の平凡な人生のささやかな幸せ

が、ひどくつまらないと感じるそうです。

 

ピピピさんは

「誰かの特別なすごい人」

になりたがっていました。

 

荒れた一人暮らしの生活の中で、作家や有名ブロガーや、有名YouTuberになりたがっていたように見えます。

お金をたくさん儲けて、他人から称賛されたい:…………そして何よりも、表現したい事が山ほどある人でした。

 

普通の幸せって、よく言いますが、ご馳走食べても翌日には出すだけです。

でも食べてる時の美味しいという気持ちや空腹が満たされるのは快感です。

お洒落しても他人は興味を示しません。けれど、好きな服に包まれて外出するのはたのしいでしょう?

温かいお風呂に入って「はあ~♪極楽極楽」と思うし、ぬくい布団で手足伸ばして眠るのは素晴らしい快感でしょう?

 

山や海に行って、自然の持つ力に畏怖したり癒されたりする事ってあるでしょう?

 

双極性障害の人は概して、ずば抜けて頭の良い人が多いのが特徴です。

その上、気持ちがハイ&ローにクルクル変わる訳ですから、自身の心が追い付いて行きません。

 

喜びを噛み締めたり、悲しみに浸ったり、そういう暇なく気持ちが常にジェットコースターです。

 

平凡な普通の人である私が、しんどいながらも生きてるのって、それでもそうした平凡な日々の、つつましくもささやかな幸せがあって、日々の先にプチ贅沢置いて、それを楽しみに毎日を紡いで行くだけです。

 

誰かの特別になれないでしょう。けれど、布団干しながら

「あー、今日は良い天気で布団が良く乾いて、フカフカで寝れる」

とか、そーゆー、「すごくどうでもいい事」が幸せで、それじゃ駄目なんでしょうか?

ダメなんです。

躁状態の時は、鬱になる事がひじょうに怖く、その鬱状態も通常の鬱病より重い事が多いそうです。

ヒーロー級の強い人間ではなくて、でも自分が戦ってる間はヒーローが来るまでの時間稼ぎだから、とモブでも頑張る人もいます。

 

訃報を知った後、双極性障害の本を読み、対応を読み、残された人のグリーフケアについて動画を見まくりました。

そして何よりも、ピピピさんがYouTubeに上げた動画のコメント欄を見て、同じ病を持つ人が励まされていたり、その若い死を悲しむ人がたくさんいるのを痛感しました。

 

「35歳になっても、何も成し遂げられていない」

と絶望の末に死を選んだピピピさん。

あなたは死ぬべきではなかった。

 

賢くて才能溢れる人だった。つまんない人ではなかった。

コメント欄を見る限り、あなたは愛されていたし、一人ではなかった。

 

たとえ35歳では普通でも、後十年二十年、表現活動続けていたら、超A級にはなれなかっとしても、表現の世界のどこかにいられたでしょう。

それを私は早くに伝えるべきでした。

自分の無力さに、夜更けに動画を見ながらホトホト泣いていました。

バカだ。ワタシ。

 

あなたの苦しみに気付けなくて、ごめんなさい。

そして、生まれ変わったなら、どこかで会えることを。

今度は一緒に、ラーメンを食べましょう。

とりあえずは、ゆっくり休んで下さい。

いままで、ありがとうございました。